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2017/01/23

【トムソンロイター】「FinTechエコシステム研究会」をベースにした「分科会~KYC(顧客確認・スクリーニング)」発足について

| by:ウェブ管理者
1 第一回研究会の要旨

◆ KYC・AML の一元化が求められる背景
FATF(金融作業部会)による日本への AML(マネーロンダリング対策)の早期改善警告を受け、2016 年 10 月に施行された改正犯罪収益移転防止法で法人顧客の確認義務が厳格化された。また、FATF 第 4 次相互審査が 2019 年に迫っており、日本における AML の実効性が問われる状況である。しかし、KYC(顧客確認)・AML は各社により独自に行われており、その水準にはばらつきがある。そこで、各社の KYC の一元化により AML の水準をそろえ、本邦金融業界の信頼向上を図ることが必要である。

◆ KYC 業務の概要
KYC とは AML の一環として、取引開始時及びその後の継続確認において顧客情報を確認し、提供する金融サービスがマネーロンダリングに用いられるリスクを評価し、リスクに応じた対応を実現するもの。マネーロンダリングリスクの低減のために
は、対策の目的や方針を規定する「KYC ポリシー」および各業務における実施事項を規定する「KYC プロシージャ」を基礎に KYC プログラムを策定することが重要である。

◆ KYC・AML に関する法的論点
1. オンライン上で取引時確認を即時に完結させることが不可能
金融機関から顧客へ取引関係文書の「転送不要扱いの書留郵便」や「本人限定受取郵便」により送付することが一般的であり、オンライン取引の利便性や利用者数の拡大を阻害しているほか、海外からの利用も困難にしている。本来、非対面取引で有用となる電子署名や公的認証サービスは顧客側で専用端末を準備する必要があり、浸透していない。

2. 法律により本人確認義務の要件が異なる
犯罪収益移転防止法、外為法、国外送金等調書法では本人確認義務が生じる要件が異なるため、事業者の業務が煩雑化し、フィンテック企業の負担となっている。

犯罪収益移転防止法 ⇒10 万円相当額超の現金の受払が対象
外為法 ⇒10 万円相当額超の外国送金等が対象
(現金に限らない)
国外送金等調書法 ⇒国外送金等が対象(金額に依らず、現金に限らない)

3. 資金移動業者にとって、海外送金の際に国外送金等調書法で要求されるマイナンバーの取得が負担
国外送金等調書法では、金融機関のみならず資金移動業者においても、取扱金額にかかわらず一律にマイナンバーの確認が必要とされている。金融機関は、100 万円超の海外送金についてのみ、マイナンバーが記載された「国外送金等調書」を、各金融機関の営業所等の所在地の所轄税務署長に提出する義務を負うが、資金移動業者には 100 万円以下の為替取引のみが認められているため、マイナンバーを確認・保管するメリットがなく、管理の負担だけが残る。


原文はこちら
http://share.thomsonreuters.com/general/PR/FinTech%20EcoSystem_KYC_Jan2017_Appendix1.pdf

17:02 | IT:一般
 

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