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2020/03/30

【三井住友トラスト・アセットマネジメント】「SMTアジア新興国株式インデックス・ファンド」  高成長が期待できるアジア新興国に、低コストで分散投資ができるファンド ~運用開始から丸8年を迎える「資産倍増プロジェクト」発ファンドの最新状況【4】~

| by:ウェブ管理者


 大手ネット証券5社(当初は4社)による資産倍増プロジェクトから誕生した専用ファンドのうち、唯一のインデックスファンドが三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」だ。1本で、今後も継続的な経済成長が期待されるアジア新興9カ国の豊富な銘柄に分散投資できる。このファンドの直近約11カ月間の運用状況と、アジア新興国の今後の見通しを、長洲雄大・三井住友トラスト・アセットマネジメントインデックス運用部総合運用グループ株式運用チームファンドマネジャーに聞いた。

■米中貿易摩擦問題の緩和で期間後半の株価は上昇した

 「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」は、アジア新興国の株価指数である「MSCIエマージング・マーケット・アジアインデックス(円換算ベース)」に連動する投資効果を目指すというインデックス型の投資信託だ。最初に、2019年3月末~2020年2月26日までの約11カ月間のアジア新興国株式の値動きについて振り返ってもらった。

  「この約11カ月間を一言でまとめると、米中貿易摩擦問題に大きく影響されたと言えます。前半は、米中貿易摩擦問題の懸念が強まったことで株価は下落が続きましたが、10月に入ってからは貿易摩擦が緩和に向かったことで株価が反転。特に12月から1月にかけては大きく値を上げました」(長洲ファンドマネジャー、以下カギカッコ同)。ただし周知のとおり、1月下旬の中国の旧正月の頃からは新型コロナウイルスの問題によって下落に転じ、その後は世界的な株安の状況となっている。

 続いて、約11カ月間を4つの期間に分けて、各国の動向をさらに詳しく説明してもらった。まず2019年4月~6月末にかけては、アジア新興国全体の株価指数は▲2.1%下落した。「下落の主な要因は、米国トランプ大統領が中国からの輸入品2000億ドル分に対する関税率を、それまでの10%から25%に引き上げると発表したことです。米国商務省が中国の通信機器企業に事実上の禁輸措置を発動したことや、香港での民主化デモがさらに過激化して中国・香港間の政治不安が大きくなったことも要因と言えます」。タイで新政権が成立し、新政権の成長戦略への期待が膨らむといったプラス要因もあったが、米中摩擦問題を打ち消すほどではなかった。

 そして、7月~9月末は下落幅がさらに大きくなったという。要因は引き続き米中問題で、「トランプ大統領が、中国に対して新たに3000億ドル規模の輸入品に対する追加関税の方針を発表し、同時期に米国財務省が中国を『為替操作国』と認定したことなどが理由です。また内的な要因としては、中国の経済指標の鈍化を受けて成長減速が強く懸念されたことが挙げられます」。この期間の指数の下落率は▲4.2%になった。

 「10月になると、米中貿易摩擦が緩和に向かったことから一気に株式市場がリスクオンの展開になりました。12月には、中国人民銀行が中国経済を下支えするために預金準備率を引き下げるという材料も出て、期待感が株価上昇に拍車をかけました」。この期間の指数は+12.6%の上昇で、11カ月間の中では最も好調な時期だった。「個別の国では、iPhoneの販売好調で情報技術関連の企業などが恩恵を受けた台湾の株価が大きく上昇し、また法人税率を大幅に引き下げたインドも上昇しました」。

 年が明けてからも、12月までの勢いに引きずられる格好で、1月のアジア新興国市場の好調は継続した。具体的には、米中通商協議で第1段階の合意文書に署名されるという期待や、中国人民銀行の預金準備率の引き下げが実行されたことなどが後押ししたという。しかし、1月下旬になると状況が一変。中国発の新型コロナウイルス感染の拡大が懸念されアジア新興国の株価が大幅に下落し、その後欧米市場へも波及した。「2月24日には米国株式市場でNYダウが1日で1000ドルを超えて急落するなど、世界中でリスク回避姿勢が広がりました」。1月~2月26日までのアジア新興国株価指数は▲5.1%となった。

 
 今回取材した2019年3月末~2020年2月26日の「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」のリターンは+2.7%となった。ただし、新型コロナウイルスの問題解決が見えない中、アジア新興国及び世界的な株式市場の混乱は3月に入っても続いている。

■1本で、アジア新興9カ国の700近い銘柄に分散投資できる

 さて冒頭でも触れた通り、「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」は、アジア新興国の株式指数である「MSCIエマージング・マーケット・アジアインデックス(円換算ベース)」に連動する投資効果を目指すファンドだ。具体的には、中国をはじめ、台湾や韓国、インド、タイなど、アジアの9つの国と地域の多種・多様な銘柄に分散投資する。

 「直近1年での指数の変化としては中国A株の組入比率の引き上げがあります。2018年5月から中国A株が指数に採用されましたが、この1年で指数でのウエイトが約1%⇒約5%になりました。この結果、中国全体の指数でのウエイトは約48%となり、これはアジア新興国指数における中国のプレゼンスが高まっていることを表していると言えます」

 「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」はインデックスファンドのため、指数における中国株の比率が高まれば、当然、ファンドのほうでも中国株の比率が高くなる。「中国株の影響が大きくなることを気にする人もいるかもしれません。しかし、米中貿易摩擦の懸念がまだ完全には払拭されていないとは言え、IT系に代表される中国の技術力は高く、経済規模も大きい。また、以前より鈍っていると言っても経済成長率は2019年に約6%と、高い水準を維持しています。中国のウエイトが高くなることをネガティブにとらえる必要はないと私は考えます」。

 ところで、「MSCIエマージング・マーケット・アジアインデックス(円換算ベース)」は約1120銘柄で構成されているが、SMTアジア新興国株式インデックス・オープンではそのうちの約700銘柄に投資している(いずれも、2020年1月末時点)。銘柄数の差異の理由について、長洲ファンドマネジャーは次のように語る。「効率的な運用のためです。アジア新興国、特に中国A株には規模の小さい銘柄が多く、すべての銘柄を組み入れようとすると取引コストが高くなってしまいます。そこで、業種構成などを考慮しながら銘柄数を絞り込むことでコストを抑制し、効率的なファンド運営を行っています」。もちろん、インデックスファンドなので、銘柄を絞ったことでトラッキングエラー(指数との乖離)が起こらないようにしっかりコントロールしているという。

■新型コロナウイルス問題の収束後は、再度の上昇が期待できる

 すでに述べたとおり、現状では新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、アジア新興国のみならず世界的な株式市場の混乱、株価の下落が続いている。まずは、この問題がいつ頃収束するのかが大きな注目点になるという。

 「具体的にいつ収束するのかについては現時点では何とも言えませんが、この問題が落ち着けば現在停滞している経済活動が戻ってきて、再びアジア新興国の企業自体の価値に目が向くと考えています。そうなれば、中国や台湾、韓国の情報技術力の高さといった内的な要因が再度評価されて、株価は上昇していくことが期待されます」

 また外的な要因としては、米国をはじめとする世界的な金融緩和の継続が挙げられると長洲ファンドマネジャーは指摘する。「世界の現状を見ると、今後急に金融引き締めの方向に転換する可能性は低いと言えるでしょう。金融緩和が続くことは世界の株式市場にとってポジティブであり、アジア新興国にも投資家からの資金が入ってくると考えています」。一方、米中間の貿易摩擦問題については、早期の解消は難しいと見ているという。「直近の1年を見ても緊張と緩和の時期があったので、そこは引き続き注意してみておいたほうがいいかもしれません」。

 最後に、「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」を個人投資家が自分のポートフォリオに組み入れる意義を聞いた。「先進国と比べると、アジア新興国の成長力は高いと言えるでしょう。資産の一部をこのファンドに振り向けることで、その高い成長力を日本にいながらにして得られるのではないかと考えています」。繰り返しになるが、1本でアジア新興国9カ国の多彩な銘柄に分散投資が可能で、インデックスファンドのため相対的にコストが低いのも魅力だ。

 そのコストについても、確認しておきたい。「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」をネット証券5社で購入した場合には、購入時手数料はかからない(ノーロード)、また、信託報酬は0.66%(税抜0.6%)で、換金時には0.3%の信託財産留保額が必要になる。ファンドの詳しい情報は、三井住友トラスト・アセットマネジメントの公式サイトでも確認できるので、参照してほしい。

(取材・記事:肥後 紀子 / 撮影:柴田 潔 / 編集・制作:グッドウェイメディアプロモーション事業部)






11:29 | 写真:投資家向け




 

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