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2017/04/28

【情報処理推進機構】4月号 「米国のフィンテックにおける人工知能の活用(フィンテックAI)の現状と課題」

| by:ウェブ管理者
ディープラーニングやニューラルネットワーク といった新技術が人工知能(AI)ブームの新たな火付け役となり産業界で大きく取り上げられるようになってから既に数年経過しているが、こうしたAI ブームに加え、近年モバイルやクラウドコンピューティング技術の台頭と、ビッグデータの利用拡大及びコンピューターの性能向上・価格低下に伴い、様々な業種でAI の一層の実用化に期待が集まっている。特に、非構造化データが豊富な金融分野は、今後AI/コグニティブシステムへの投資拡大が見込まれている業界分野の一つと考えられる。AI ソリューションを武器に金融業界に新規参入するベンチャー企業をはじめとするテクノロジー企業が増える中、大手金融機関の中でも、これらのテクノロジー企業と提携しながら、AI ソリューションの開発・導入を推進する機関が出てきている。今号では、「フィンテックAI」とも呼べる、金融サービスにおけるAI技術の導入を推進する米大手金融機関や主な米IT 企業の取り組みについて紹介する。一方で、まだ新しい技術であるが故に業界で懸念されているアルゴリズムのエラーによるリスクや関連規制の整備の遅れなど、フィンテックAI の活用・普及における課題についても取り上げる。

まず、フィンテックAI の市場動向をみる。IDC 社によると、コグニティブ/AI システムは、幅広い業界で今後急速に普及し、世界における売上高は2016 年時の80 億ドルから、2020 年には470 億ドルに達する見込みであり、短期的な投資拡大が特に見込まれる業界分野は、金融、証券・投資、製造である。米金融情報専門誌Euromoney 誌の調査によると、世界の金融サービス機関において向こう3 年間でAI 技術の導入により最も変化が見込まれる分野は、信用評価、資産管理、株取引、ヘッジファンドといった分野であり、ヘッジファンドについては、大手企業を中心に、近年、「クオンツ運用」と呼ばれる数量分析に基づく運用にAI技術の導入を推進する動きが加速している。

次に、フィンテックAI の活用を推進する米大手金融機関として、Capital One 社、Goldman Sachs 社、JPMorgan Chase 社における取組みを紹介する。業界では、AI ソリューションを武器に新規参入するベンチャー企業をはじめとするテクノロジー企業に企業利益が奪われる可能性を脅威と感じ、組織内で精力的な技術開発を行う金融機関も出てきており、AI 技術を活用する金融機関とテクノロジー企業が協力・提携する例も今後増加するとみられている。

続いて、フィンテックAI で注目を集める主なIT 企業の例として、自社開発したコグニティブコンピューティング・システム「Watson」を用いた取組みで業界をリードするIBM 社と、AI 技術を活用したクオンツ運用ヘッジファンドのパイオニア企業であるTwo Sigma Investment 社のほか、フィンテックAI ベンチャー企業の中で予測分析ソリューションを提供するH2O.AI 社や規制コンプライアンス/不正検知に関連したソリューションを提供するSocure 社の2 社を取り上げる。

最後に、金融業界では、AI を導入することで得られる利益だけでなく、AI 技術がまだ非常に新しいが故に起こり得るシステムエラーの問題や、既存の規制がAI 活用における問題に十分に対応できていないことや、AI により株取引などトレーダーの業務自動化などが進む中で、業界の労働構造にAI が及ぼす負の影響といったリスクを懸念する声も同時に高まっており、こうしたフィンテックAI の活用・普及における課題についてみる。


原文はこちら
http://www.ipa.go.jp/files/000059240.pdf

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