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2017/04/27

【Dell EMC】来日インタビュー!高い拡張性と管理の簡素化、ソフトウェア デファインド ストレージの専門家 Passero Cynthia 氏が語る、金融業界におけるデータの保存、管理、活用に関するトレンドとは

| by:ウェブ管理者


 昨今、変動する多様なビジネスニーズや急増する膨大な量のデータに対応するためには、高い拡張性を確保しながらも管理を簡素化し、ワークロードを最適化できるストレージの先進的なソリューションが求められている。

 2017年4月3日(月)、グッドウェイは、新宿マインズタワーにある  Dell EMC 東京本社において、米国から来日中のPassero Cynthia 氏(Advisory SE SDS, Dell EMC)を訪ね、Dell EMC が提供する SDS(Software-Defined Storage:ソフトウェア デファインド ストレージ)の概要や金融業界におけるデータの保存、管理、活用に関するトレンドのほか、実際にどのように使われ、どのようなメリットを提供できるかなどについて話を聞いた。

 なお、この日は、林 孝浩氏(EMCジャパン SDS事業 担当ディレクター)、中村 雅史氏(同社 SDS事業 シニアシステムエンジニア)も同席した。


略歴(Passero Cynthia 氏(Advisory SE SDS, Dell EMC))

Cynthia氏は、Goldman SachsからEMCに入社し、これまでに米ウォールストリートの多くの大手金融機関(CitiBank、JPMorgan Chase、Goldman Sachs、Morgan Stanleyなど)と、クラウド、オブジェクト、およびハイパーコンバージド・イニシアチブといった分野で協力。Dell EMC が提供する ScaleIO、VxRack、およびECS(Elastic Cloud Storage)の専門家として豊富なナレッジベースを提供している。




【グッドウェイ】はじめまして。最初に簡単に自己紹介をいただけますか?

Cynthia 氏】私はもともとEMCに12年間勤め、その後、Goldman Sachsで2年半ほど働き、そして再びEMCに戻り3年となります。現在は、米ウォールストリートの多くの大手金融機関(CitiBank、JPMorgan Chase、Goldman Sachs、Morgan Stanleyなど)を担当しています。DELLとEMCの統合には、当初驚きましたが、製品ラインナップも増え、顧客やサポートに対する姿勢も合致し、文化の融合もうまく進んでおり、大手金融機関と多数の取引があるEMCと世界中にサプライチェーンを持つDELLはとてもシナジーがあると思います。私自身はもともとマサチューセッツ州をベースに、EMCのストレージ装置Symmetrixやソフトウェア製品群「PowerPath」、「TimeFinder」、「SRDF(Symmetrix Remote Data Facility)」を担当していましたが、高度にパッケージ化されたオブジェクト・ベース・ストレージ製品「Atmos」の担当となって以降、多くの金融機関から強い関心を頂き、頻繁にNYへ通うようになり、現在に至っています。

【グッドウェイ】これまでの金融機関におけるトレンドを教えてください。

Cynthia 氏】金融業界ではリーマンショック(2008年)が起き、当時は法規制対応やコンプライアンスの重要性が急速に増し、金融機関はデータを守るために統合型仮想ストレージ「Symmetrix VMAX」をはじめとする専用インフラのニーズが高まりました。EMCは単に安い製品を売るという会社ではなく、データ保護を支援するパートナーとして、いかに高い付加価値を売ることができるかという部分に重点を置いています。そのため、設備投資と運用コストを含むTCO(Total Cost of Ownership)の観点から、いかにより安くより多くのことが出来るか、いかに導入までの時間を短く出来るか、いかにお客さまがより利益を上げることが出来るか、などについて提案してきました。

【グッドウェイ】SDSによるソフトウェア定義型のメリットとは?

Cynthia 氏】当時の金融機関の抱える課題と要請に応じて導入が広がったVMAXですが、その後、ワークロードの急激な増加など、時間の経過とともに環境変化が起きてきました。その結果、社内にしっかり使いきれていない大容量ストレージが無数の島のように乱立した状態が生まれ、それぞれが縦割りで連携できず、アプリケーションの要求に応じてリソースを配分するためのプロビジョニンングも難しくなっていきました。加えて、アップグレード費用やデータ移行作業負荷も大きな負担となります。

 そこで、大手金融機関では、サーバ、データ ストレージ デバイス、ネットワーク機能、仮想化、管理ソフトウェアなど全てを汎用的なインフラ要素を統合するハイパーコンバージドな環境ニーズが高まり、その実現のため、お客さまから背中を押される形でSDSによるソフトウェア定義型への移行が一気に進みました。

 SDSがもたらすメリットとしては、汎用的なハードウェアが使用できることで運用コストを下げ、使いきれていないストレージの容量を改善し、移行やアップグレードに伴うリスクも下げることが出来ることなどが挙げられます。また、IPアドレスさえあれば特別なネットワークは必要とせず、プログラム可能なインターフェースの利用により、ユーザー側でいつでも柔軟に設定が出来るので、拡張したいときにいつでも拡張可能で、ビジネスの要件に対して俊敏なプロビジョニンングが出来るというメリットがあります。つまり、SDSは、管理を簡素化し、拡張性を高めながら、より俊敏性の高い組織化されたストレージを実現します。

【グッドウェイ】金融機関でよく使われている領域はどこでしょうか?

Cynthia 氏】まず、Dell EMCではSDSのプラットフォームには、ワークロードや利用目的に応じて、「ECS(Elastic Cloud Storage)」と「ScaleIO」の二つのタイプを提供しています。

 「ECS(Elastic Cloud Storage)」は、これからのIoTの中核となるユニバーサル プラットフォームです。コンプライアンス機能を持っており、例えば、証券取引委員会のSEC17-A4へのコンプライアンス対応や、各地域毎のコンプライアンス要件を満たすアーカイブ利用など、法規制に準拠するために何年も維持しないといけないデータが数ペタバイトにのぼる長期保管を目的としたアーカイビングやバックアップで利用されています。

 「ScaleIO」は、既存のサーバーを大幅な拡張性を備えたソフトウェア定義型のSAN(Storage Area Network)に進化させ、ブロックストレージによる高いパフォーマンスとスケールアウトを実現します。ICTを支える新しい情報基盤として、第2・第3のプラットフォームがあります。第1のプラットフォーム(メインフレーム)や第2のプラットフォーム(クライアント/サーバー)といった従来型から、新たな第3のプラットフォーム(クラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャル)へと進化する中、ビジネス要件の変化に対するアプリケーションの機動性に対応でき、金融機関での利用も広がりつつあり、Dell EMCとしてもベストプラクティスを蓄積しています。

【グッドウェイ】EMCが米国の金融機関に提供するベストプラクティスは日本の金融機関にも効果的でしょうか?

Cynthia 氏】はい、米国の金融機関の環境も多様です。ソフトウェアで実現可能なベストプラクティスは数多くあります。金融機関は日々、大量のデータを蓄積しながらも法規制への準拠という課題を抱えており、このような解決策において国境はなく、世界中の金融機関で活用いただけるベストプラクティスを提供しています。

【グッドウェイ】ラウドサービスの提供と金融機関の活用状況について教えてください。

Cynthia 氏】Dell Technologies グループでは、買収した「Virtustream」を通じて、「ECS(Elastic Cloud Storage)」を使った「Storage as a Service」として提供しています。ハイブリッドクラウドというコンセプトを掲げ、自社のデータセンターで構築したデータセンターに対するアーカイブや長期データ保管としての災害復旧用(DR)として利用して頂いています。

 一方、いまのところ、金融機関におけるクラウドの利用状況はまだ全体の1割程度で多くはありません。もちろん金融機関の上層部からはデータをクラウドに持っていくことでコスト削減をせよとの指示は出ているようですが、現実的には、ケースにもよりますが、オンプレミスの方が5年で40~60%ほど安いという結果が出ています。実は、ここで、よく忘れられている二つのコストがあります。一つはデータの移動コストです。アーカイブだけではなく、ひとたびクラウドに乗せたデータを随時読み込むようなサービスの運用が占める割合が5%を超えるようになると、少なくとも当初の想定費用から一桁大きくなることもあります。また、複数ベンダーをまとめる仲介役となる会社が必要になったり、暗号化やデータ保護のハードルも高まるため、現時点では、EMCを活用したオンプレミスで一元的に構築することを提案させて頂いています。

【グッドウェイ】日本における今後の提案スキームと戦略について教えてください。

Cynthia 氏】アジアや日本では、まだ導入事例が少ないことや保守的な文化もあるようで、ハードウェアから離れソフトウェア定義型に対して心配する声が多いように感じます。そのような中、「ECS(Elastic Cloud Storage)」と「ScaleIO」も無料でダウンロードができますので、ぜひPOC(Proof Of Concept)などで実際にもっと試し、その堅牢性と管理負担の軽減を感じて頂けたらと思います。このあたりをいかに広く証明していくことが出来るかどうかが、これからのポイントになります。

【グッドウェイ】アメリカの金融機関のトップ20社でSDSはどれくらい利用されているのでしょうか。

Cynthia 氏】グローバルでは金融機関2,000社のうち17%がPOC(Proof Of Concept)をしているという話もありますが、私の担当している金融機関ではほぼ全て何らかの形でSDSを導入しており、トップ50社ということであれば、ほぼすべての金融機関で利用されています。

【林氏】これまで20年以上にわたり欧米の金融機関のデータの保護や活用をリードし、新しい変革を迎える中でお客さまのSDSへのシフトが進んでおり、コスト削減とIT変革の実績を積み上げてきました。いま、まさに日本の金融機関においてもフィンテックやデジタルトランスフォーメーションなど追い風にあり、欧米にて経験してきたことを日本の金融機関にも提供させて頂きたいと思います。既に日本の金融機関の皆さまからも、欧米でどのように変革が進んできたかを知りたいという声も上がっており、日本のクオリティに合わせて、SDSをお届けする準備はできています。

【グッドウェイ】ありがとうございます。まさに、日本におけるイノベーションへの積極的な予算化も増えており、外部環境は追い風ですね。最後に、日本の金融機関の方々にメッセージをお願いします。

Cynthia 氏】お客さまのモダナイゼーション、トランスフォーメーションへの取組みをぜひご支援させて頂きたいと考えています。SDSはコスト削減やリスク削減、俊敏性を高めるためのとても有効なプラットフォームであり、金融業界に強いEMCだからこそわかる金融機関のさまざまな課題と解決方法があります。ぜひ「ECS(Elastic Cloud Storage)」と「ScaleIO」の無料ダウンロードをお試しください。

【グッドウェイ】本日はありがとうございました。

Cynthia 氏】【林氏】ありがとうございました。



 統合を完了した Dell と EMC の新たなスタートをきった Dell Technologies の傘下には、Dell、Dell EMC、Pivotal、RSA、SecureWorks、Virtustream、VMware が名を連ね、世界中で信頼される革新的な機能を結集し、デジタルトランスフォーメーションを加速するテクノロジーソリューション、製品、サービスを提供している。ITインフラストラクチャおよびソフトウェアの分野で世界をリードする Dell Technologies の今後の展開に注目したい。



 2017年3月15日(水)、EMCジャパンは、グッドウェイ主催「金融高度化フォーラム~金融機関のビッグデータ活用事例と金融サービス革命の行方~デジタルトランスフォーメーションと金融高度化の手法」において講演を行いました。

「デジタルトランスフォーメーションにおけるデータ活用と金融高度化の手法、およびEMC & Pivotalがご提供するソリューション」(EMCジャパン コンサルティングGTM ソリューションプリンシパル/シニアデータサイエンティスト 桑添 和浩氏)

  この講演では、デジタルトランスフォーメーションの時代を迎え、データ活用において企業がどのように取組みを進めているか、他業種での事例や将来必要なデータ活用基盤・アーキテクチャも含めて解説。また、金融高度化の取組みを進めていくにあたり、EMCジャパンとPivotalジャパンが提供しているサービスやソリューションについて紹介が行われました。



(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )




14:57 | 取材:金融・IT業界向け

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