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2016/03/25

【DZHフィナンシャルリサーチ】「投信は、仕組みをよく理解して買うのが基本です」~投資信託を買う前に、知っておきたい現在の動向と考え方~DZHフィナンシャルリサーチ 野口文高さんに聞く(ネット証券4社資産倍増プロジェクト)

| by:ウェブ管理者


■投資信託への資金流入は10年以上プラスの状態が続いている


 今回は、国内の公募投資信託やETF(上場投資信託)の動向、投信の国際比較など、個別の投信を検討する前に知っておきたい投信の大きな流れについてお話したいと思います。

 まず、投資信託の純資産残高から見ていきましょう。国内公募投信の純資産残高は、2016年2月末現在で88兆8597億円です。2015年5月に初めて100兆円を超えましたが、その後は世界的な相場の調整の影響で減少しました。ただ、資金フローで見ると、2003年以降、毎年プラスで推移しています。また月単位でも、2014年12月以降、ETFを除く株式投信への資金流入はプラスを継続中です。2月は日銀によるマイナス金利導入の影響で公社債投信から大量の資金が流出し、株式投信と公社債投資を合わせた投信への資金流入はマイナスとなりましたが、株式投信の資金流入はプラスが続いています。

その中で、特に注目したいのが、毎月分配型以外の投信への資金流入の増加です。日本では長い間、毎月分配型が大半でしたが、2015年は毎月分配型への資金流入が3.81兆円であるのに対して、それ以外の投信へは4.84兆円と、毎月分配型を上回る結果になりました。

 毎月分配型以外が伸びている一因としては、アベノミクス相場で株価が大きく上がってきたことも影響していると考えられます。ただ、毎月分配型への資金流入も3.81兆円ありますから、毎月分配型の人気がなくなったということではなく、投信全体が伸びている中で毎月分配型以外にも指向が広がっていると言えるのではないでしょうか。





■2015年の売れ筋トップ10のうち、8本が毎月分配型で根強い人気

 では、具体的にどんな商品に人気が集まっているのか。2015年の1年間での資金流入額トップ10を見てみましょう。

 その前にぜひ言っておきたいのは、これからお話するのはあくまでランキングに過ぎないということです。「売れ筋だからよい投信だ」ということではありません(逆に「売れ筋だからダメ」というわけでもありません)。

 もちろん、「他の人が何を買っているのか」は参考になります。たとえば、電気製品を買う前にランキングサイトなどで「売れ筋ランキング」をチェックする人は多いでしょう。私自身も、エアコンを買い替える際には、量販店で売れ筋ランキングを調べました。特に、日本人は「隣がどうしているか?」を気にする国民性なので、売れ筋ランキングを見ている人は多いと思います。

 しかし、「売れ筋だから買う」という投資行動は非常にリスキーです。これから紹介するランキングは、あくまで「資金流入額トップ10」であって「オススメ投信トップ10」ではないことを理解しておいてください。


表の右側にある「分配回数」を見て欲しいのですが、10位までのうち、実に8本が毎月分配型です。やはり毎月分配型の人気が根強いことがわかります。その中で、7位の「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)」は年1回決算型、3位の「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」は年2回決算型です。

 また、10位以下となりますが、企業価値の向上が期待できる国内銘柄に投資する野村アセットマネジメントの「日本企業価値向上ファンド(限定追加型)」(年1回決算型)も資金を集めていて、これまでの毎月分配型一辺倒から状況が少しずつ変わってきていると見ています。

■2015年に高パフォーマンスだったのは国内中小型株投信


 続いて、2015年の運用成績についてざっと振り返っておきましょう。2015年は日本株ファンド、特に中小型株に投資するファンドが運用成績で上位に付けました。昨年は、短期的には大きく株価が下落する局面もありましたが、1年を通して見るとTOPIX(配当込み)が+12.06%だったのに対して、運用成績のよいファンドについてはその3倍、+30%以上のリターンを上げています。

 逆に、運用成績が振るわなかったのは、エネルギー・資源関連に投資するファンドです。原油をはじめ商品価格が軒並み大きく下落する中で、そうした資源関連のファンドも値を下げました。

 日本の中小型株ファンドの価格が上昇するのは、非常によいことです。ただ、純資産総額に目を向けると一番規模の大きいものでも、まだ400億円程度。日本では、新しい企業が次々に出てきてそれにどんどん投資する、というアメリカのような流れにはまだなっていないということでしょう。日本人としては、ぜひそうなって欲しいと願っているのですが。

■国際比較では、日本の投信市場はまだまだ発展途上中


 ここで、少し話の方向を変えて、世界の投資信託の状況に目を向けてみます。冒頭にお話しした通り、日本の投信市場は拡大を続けていますが、世界各国と比較するとまだまだ規模が小さいのが現状です。少し古い数字になりますが、2014年12月末時点の投信残高世界第1位は米国で15.85兆ドル、これに対して日本は第9位で7800億ドルです。GDP比で見ても、米国の91%に対して、日本は17%。フランスの49%や英国の40%などと比べても低い数値に留まっています。

 次に、日米の家計における金融資産の割合を見てみたいと思います。家計の金融資産の総額は、日本が1717兆円、米国が69兆7735億ドルで、一人あたりでは日本が1350万円、米国は2600万円(1ドル120円で計算)です(2015年6月末)。



 日本では、金融資産の約半分が現預金で、投信の保有割合はわずか5.4%です。一方の米国は、日本の2倍以上の12.9%が投信となっています。さらに米国では、年金準備金で間接的に保有する分を含めると保有割合は18%程度に跳ね上がります。

 とは言え、日本でも投信残高は確実に増え続けています。また、前述のとおり、純資産残高は100兆円近くありますから数値自体は決して小さいものではありません。そもそも、資産の半分が預貯金というのも、日本が長い間デフレ状態にあったことを考えれば、合理的な判断だったと言えなくもありません。

 ところで、日米の投信では経費率にもかなりの差があります。株式投信の場合、日本の経費率(年率)は1.28%(2015年8月末の税込み信託報酬)ですが、米国は0.70%(2014年の経費率)です。なぜ、こんなに差が出るのでしょうか。

 主な要因は2つあり、1つは投信の規模の違いによるものです。たとえば、100億円の投信を維持するのと1兆円の投信では、規模が小さいほうが維持にかかる費用の割合は高くなります。米国の投信は、日本に比べて規模が大きいため、経費率が相対的に低く抑えられます。

 もう1つの要因は、日本の投信には海外の商品を入れているものが多いことです。日本は長い間、相場もよくなかったため、海外の資産に投資する投信が多く、その分、フィーがかかっています。一方、米国ではずっと自国の株式で構成している投信が売れていたわけで、「規模」と「海外商品」、この2つの理由から日本の経費率のほうが米国より高くなっています。

 ただ、まだはっきりとした統計データはありませんが、最近では投信の手数料を引き下げたり手数料の低い投信を販売する動きも目立っており、今後は変わっていく可能性もあるでしょう。


■市場が急拡大しているETFは、低コストと利便性にメリットあり


 さて、投資信託には株式市場に上場しているものもあります。ご存じの方が多いと思いますが、ETF(上場投資信託)です。

 1993年に米国で誕生したETFは、コストの低さ、そして株式と同様に売買できる使い勝手のよさが歓迎され、市場規模が急拡大しています。年間3兆円を超える(2015年)日銀のETF買い入れも呼び水になり、民間からも大量の資金がETF市場に流入する格好となっています。また、ETFは銘柄の種類や数も増加していて、現在は国内で144銘柄(投信協会による数値)、さらに証券会社によっては米国や香港など海外のETFを購入することも可能です。

 ETFが、一般の投信に比べて低コストなのは次の3つの理由からです。
①運用会社との現金のやり取りがない…一般の投信は、投資家が設定・解約するたびに資金の移動が必要になるが、ETFでは不要。
②販売会社が介在しない…そのため、販売手数料はかからない(証券会社への取引手数料は必要)。
③銘柄選択をしない…大部分のETFはインデックス運用なので、個別の銘柄を選んで運用するための労力が不要。

 ETFに、「資産形成に適した商品」というイメージを持っていない人もいるかもしれません。しかし、種類も豊富で、コスト面でもメリットのあるETFは、保有していれば一般の投信同様、中長期の資産形成にも十分つながる商品です。ただ、ETFの場合は株式市場で手軽に取引できるため、売るべきでないタイミングで売ってしまいがちで、そこはETFのデメリットと言えるかもしれません。

 なお、ETFは株式市場で取引するため、一般の投信とは異なり、銀行など証券会社以外の口座では直接売買することはできません。


■投信は仕組みとリスクを理解し、自分の考えで選ぶことが重要

 冒頭でもお話した通り、日本の投信では「毎月分配型」が根強い人気を集めています。その毎月分配型投信で用いられることが多い運用手法が、英語では「double-decker(二階建てバス)」と呼ばれる「通貨選択型」です。

 通貨選択型ファンドは、株や債券などへの投資と為替取引を組み合わせた商品です。高金利の通貨で運用すれば、円安のときには金利差と為替で収益が得られますが、円高局面では逆に大きく損をする可能性があります。株などの価格変動リスクに加えて、為替のリスクも生じるので「二階建て」というわけです。

 私は、通貨選択型ファンド自体を否定するつもりはありません。事実上ゼロ金利が続いてきた日本で、多くの分配金を出す手法として、通貨選択型は有効な方法の一つだからです。しかし、仕組みやリスクを理解しないままに投資することは非常に危険です。

 また最近は、ファンド側で資産配分を調整するリスクコントロール型やバランス型と言われる投信も増えてきています。ファンドのコンセプトの良し悪しは別として、一般的に言ってリスクをコントロールしてもらう分のコストは必ず支払っているはずです。投信を選ぶ際には、仕組みやリスクを理解すると同時に、コストに見合ったリターンが期待できるのかどうかも、しっかり検討する必要があります。

「コストに見合ったリターン」とは、どのように考えればよいでしょうか。株式投信を例に説明します。株式は、基本的には経済規模の拡大と共に上昇していきます。世界的な経済成長率が悲観的に見て3%程度で、2%のインフレ目標が達成されるとしたら、長期的なリターンは年率5~6%と考えられます。それに対して、支払うコストが1%なら妥当とするのか、2%までよいと考えるのか。これが、コストに見合うリターンの考え方です。ただし、どの程度のコストなら妥当なのかは人によって異なるため、自分で判断するしかありません。

 仕組みやリスクを理解できない商品には投資しないことと、コストに見合うリターンが期待できる商品を選ぶこと、この2つは投信選択の基本です。そして、最後にお伝えしたいのは「何かやらねば」の焦りは禁物ということです。「とにかく何か買わなくては」と焦ってしまうと、たとえば金融機関で勧められたものをよく考えずにそのまま買ってしまう、というようなことになりかねません。じっくり考えて、冷静に判断して欲しいと思います。

(取材・記事:肥後 紀子 / 撮影:/柴田 潔 / 編集・制作:グッドウェイメディアプロモーション事業部)

(オリジナル記事掲載元:ネット証券4社共同プログラム「資産倍増プロジェクト」ネットで投信を買う!





13:29 | 写真:投資家向け




 

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